バスクララ

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「聞いて驚けっ! なんと私は未来予知者なのだ!」
 朝っぱらから開口一番、俺の愉快な幼なじみ殿はものすごいドヤ顔で言った。
 俺は内心こいつはまた変なことを始めたのかと呆れていたが、通学路の暇つぶしにもってこいな話題なので詳しく聞くことにした。
 乗り気になった俺を見てご満悦な幼なじみ殿はそれはそれは上機嫌で声高に語り始めた。
「あのねぇ、夢で星占いを見てたのね。そうしたらさ一位が双子座で、最下位が牡牛座だったんだー!
で、今日の運勢も一緒。だからこれはもう完璧な未来予知に間違いないってわけ!
どうどう? 今から私に投資しない?」
 目をキラキラ輝かせている幼なじみ殿に俺は努めて冷静に返す。
「何で投資すんだよ」
「そりゃあ……有名になるために?」
「なんだそりゃ。つーかそれ、未来予知じゃなくて予知夢の間違いだろ」
 俺がそう言うと幼なじみ殿は目も口もまんまるな顔した。鳩が豆鉄砲喰らったようという言葉はまさにこの顔なんだろうなと少し感心したほどだ。
「えっ、未来予知にもジャンルがあるんだ!?
……でもまあ、未来の記憶を覗き見てるようなもんだから色んなジャンルがあってもおかしくないのか。
やっぱ君って賢いね!」
 いい笑顔の幼なじみ殿に俺は心底心配になる。
 こんなアホでこれから先大丈夫なのだろうかと……

2/12/2025, 1:05:33 PM