マーマレード

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小さい頃、家にインコがいた。
幼いながらわたしは、この子を外へ出してあげたい、大空に解き放ちたいと思っていた。
インコは結局、あの部屋の中で、あの鳥籠の中で一生を迎えた。

今の私は社会人となり、会社と自宅を往復し、地下鉄に揺られる日々を送っている。
ふと思うのは、私は自由なのか、ということだ。
自由とはなんなのか、どこかに行けることなのか、何にも縛られないことなのか、何かを決められる権利を持つことか。私にはまだ、自由というものはわからない。きっと、死を目の前にしている老人でさえもわからない。

社会という鳥籠に、日本という鳥籠に、人生という鳥籠にそして、自由という鳥籠に私は囚われているのかもしれない。

鳥籠は悪いことだけではない、そこには慢心的な安全が満ちている。心を落ち着かせることができる。
狭い世界は自分の存在を少し大きくしてくれる。

それなのに、私は自由に囚われている。安心に囚われている。つまり、私にとってはどこでも鳥籠の中なのだ。そこは狭く、不自由だか、安心とある種の自由があるのだ。きっと死ぬまで私は何かの中で囚われている。

7/26/2024, 3:53:27 AM