「何度でも言うが、俺は別に、ぼっちクリスマスでも寂しも何ともねぇからな」
この時期に「寂しさ」とか、当てつけか、んなワケ無いな、ただの毎度安定のエモネタだな失礼しました。
某所在住物書きはスマホに届いた題目の通知文を見ながら、今日も何を書くべきか悩み抜いていた。
感覚として、このアプリはエモネタと天候ネタと年中行事あたりで半数である。きっと数日後は「クリスマス」、31日頃には大晦日っぽい何かであろう。
「どうせ来る行事ネタから逆算して、それに対して『寂しさ』を書くことも、できるっちゃできるが」
そこまでして、クリスマスネタ組みたかねぇわな。
ガリガリガリ。今日も物書きは苦悩で頭をかく。
――――――
3月1日に投稿開始したこのアカウントも、クリスマスの翌日にとうとう開設から300日。
早いものです。長いものです。
今日はその約300日前から、現代ネタの連載風として何度もおはなしに登場している、「人間嫌いと寂しがり屋を併発した捻くれ者」の藤森が、おはなしの舞台である東京へ来るまでをご覧にいれましょう。
昔々のおはなしです。
年号がまだ平成だった頃のおはなしです。
東京から遠く離れた雪国、花と山野草の溢れる田舎町に、附子山という名字の家族がおりました。
かつて四代藩主の体調不良を癒やしたことで、藩主から良質の薬草が採れる山と「附子山」の名字を与えられたのが由来です。
車社会の到来で、田舎町が限界集落に片足突っ込むまで、あるいは道路整備によるストロー効果がガチの本気を出してからも、
附子山は、一番大きく一番頼れる薬屋さんとして、地域住民のお薬事情を支え続けておりました。
「附子山の薬屋さん」といえば、その地区の30代以上は、誰もが一度はお世話になっていたほどでした。
で、その附子山さん一家には、優しくて寂しがり屋の一人っ子がおりました。
附子山 礼(ぶしやま れい)といいます。
後に諸事情で改姓し藤森になりますが、気にしない。
中学校あたりで「附子(トリカブト)」を理由にいじめられそうになりますが、
上記背景の薬屋さんの一人っ子なので、子供がいじめたくても、親が許しません。
おかげでいじめられず、誰と仲良くなるでもなく、ぼっちで、寂しく中学と高校を卒業しました。
「『附子山』を、知らない場所に行けば良いんだ」
当時の一人っ子、考えました。
寂しがり屋だったので、大学くらい、友達いっぱい欲しかったのです。
そこで一人っ子頑張って、勉強して勉強して、頭の良いひとが集う、ちょっと遠くの国立大学へ……
行ったは行ったで良いものの、やっぱりついてくる「附子山の薬屋さん」。
同期と先輩と教授に附子山の同郷が居たのです。
一人っ子の努力むなしく、「附子山の薬屋さんの一人っ子」として、寂しく大学を卒業しました。
「もっと遠ければ……東京なら、私を『私』として、見てくれるかも」
当時の一人っ子、考えました。
別に「附子山」姓を恨んでるでもなく、むしろ大事な誇りとして、自信とともに胸を張ってはいるものの、
やっぱり、寂しいのは寂しいのです。
「よし。東京へ行こう!」
都会の方が、仕事も選べるし、給料も高い。
そこで一人っ子頑張って、計画立てて切符も取って、引越し先も自分で決めて、
花と山野草あふれる雪国から、おはなしの舞台の東京へ、寂しさを埋めながらお金を稼ぐために、
2023年現在から13年ほど前の春、高速バスに乗って、やって来たのです。
「来た、東京だ!暖かいなぁ!」
そこから先は、10月18日投稿分だの、7月30日投稿分だので、あーだこーだ書いておりますが、
ぶっちゃけ、スワイプで辿るのがバチクソ面倒です。
要するに、13年東京に住んで、色々あって、職場に昨日投稿分みたいな食いしん坊の後輩もできまして、
そこそこ穏やかに、寂しさもちょっと紛れて、
元気に、暮らしておるのでした。
おしまい、おしまい。
12/20/2023, 2:59:11 AM