「快晴」
「おはよう!!!今日は快晴!!!とてもいい天気だね!!!」
洗濯物を干しながら自称マッドサイエンティストは話す。
あ、ちょっと待て!
この時期に洗濯物を外で干さないでくれ───
「ん??どうしてだい?!!こんなにいい天気なのに!!!」
遅かった……。くしゃみが止まらない。
花粉が、そのっ。目まで痒くなってきた。
「あ〜……要するにキミは花粉症なんだね!!!お気の毒様……!窓も開けてちゃマズいだろうね〜!!!」
そう言って部屋に洗濯物を干しつつ窓も閉めた。
手間かけさせて悪い。
「いやぁ、まさかキミが花粉症だと思ってもいなかったからね!!!ボクも少々びっくりだよ!!!明日からは部屋干しだね!!!」
「う〜む、どうしたものか……」
何か企んでいるのか……?
「いや〜???せっかくの快晴だからキミとピクニックでも行こうかと考えていたのだが、それどころじゃなさそうだね!!!というわけで!!!正午、リビングに集合だよ!!!」
正午か。まだ少し時間があるから、本でも読んで過ごすか。
……それにしても暖かい、というか少し暑いくらいだ。
半袖を着るべきだったかもしれない、というかそもそも衣替えが遅すぎたか。
マッドサイエンティストおすすめのミステリー小説「ミントグリーンとX」を読みながら服のことを考えていた。
そういやあいつは暑くないのか?ずっと同じ服ばかり着ていて。
ふとしたときにまだ知らないことが出てくる。
あとで聞いてみるか。
なんて思っているうちに、気づけば正午を迎えていた。
「お!!!来た来た!!!」
リビングにレジャーシートが敷かれている。
その上にはサンドイッチやらラジオやら、色々なものが置かれていた。
「フフフ……よく来たね!!!今日は名付けて!!!『おうち de ピクニックの日』だよー!!!喜びたまえ!!!」
部屋に春らしい日光が差し込んで、嬉しそうなあんたの顔を照らす。ミントグリーンの髪がキラキラして綺麗だ。
「いいだろう?!!我ながらナイスアイデアだと思うのだよ!!!キミも存分に楽しんでくれたまえ!!!」
「好きなことしててくれたらそれでいいからね!!!」
座ってお手製のサンドイッチを食べる。
BLTにたまごサンド、それから……桜、か……?
そんなに桜がお気に入りだったのか。
半分くらいは散ってしまっているが、もし自分が花粉症でなければもう一回花見にも行けたかもなぁ。
日の光に暖められて、だんだん眠くなってくる。
+゚*。:゚+.゚*。:゚+.゚*。:゚+.゚*。:゚+.゚*。:゚+
小さい頃、母に連れられてよく買い物へ行った。
大抵スーパーだったけれど、たまに大きいショッピングモールに足を伸ばすこともあった。
いつからだったろうか。
ショッピングモールに出掛けた時に母とはぐれて迷子になったときの夢を見るようになったのは。
いつも孤独で不安な、この夢。
進めば進むだけ事態は悪化するのに、動かずにはいられない。
なにか、どうにかしないと。
ひとりぼっちで怖い。
怖い、こわい。
誰か助けて───
「だいじょうぶだよ。キミは、いつだって大丈夫さ!」
+゚*。:゚+.゚*。:゚+.゚*。:゚+.゚*。:゚+.゚*。:゚+
気がつくと、夕暮れ時になっていた。
しまったと思いつつ、ゆっくりと身体を起こす。
「おはよう!!!晩御飯の時間だ!!!」
「今日はサンドイッチの余りで作ったサラダ!!!そしてたこ焼きだよ!!!」
サラダとたこ焼き?変な組み合わせだな。
……でも、おいしい。
誰かとこうやって食べる食卓は、すごく安心する。
「満足いただけたようで何よりだ!!!」
あんたは嬉しそうに言う。
今度、何かお礼をしないとな。
そう思って自分はいつも通りの日常に戻った。
4/14/2024, 9:10:07 AM