勝ち負けなんて
気にしなくていい。
私は私を信じて
やれる事をやるだけ。
手順は手に染み込んでる。
作法というのは
勝手に覚えるもの。
だから無理に思い出さなくていい。
気にしなくていい。
お腹に力を入れつつ深呼吸して
緊張をバネにする。
今日は老若男女問わず行われる
執筆テスト。
2時間で1つの物語を作る。
最初は
一斉にペンのキャップを外し右側に、
下書き用の紙とペンを左側に置く。
これらの動作は流れるように
静かに行う。
時間が決まってるから
ペンを止める訳にはいかない。
作法を行っている間も
頭の中で物語は紡ぎ続ける。
私は毎回、
奇想天外な作品を作っている。
他の人はどうか知らないけど。
人によって物語の構成も
ジャンルも結末も違う。
だからこそ面白い。
もちろん順位はつけられる。
下位に入ると執筆補習会に呼ばれてしまうので
何とか避けたい。
中位は次の執筆テストに出られる権利、
上位にも、もちろんテストの権利が与えられる。
それだけでなくハンドルネームも与えられる。
私はハンドルネームが欲しかった。
ここでは執筆テストで上位を取った者以外
ハンドルネーム、つまりニックネームで
呼ぶことが禁止されていた。
本名に文句があるわけじゃないけど
ずっと憧れで
ずっとギリギリ届かなかった。
"Good Midnight!"
いつもとはちょっと違う、
雰囲気や背景を夜にした物語を紡いだ。
静かだけど灯りが賑やかで
涼しいけど暖かく包み込まれてるみたいで
寂しいけど安心できるような。
5/31/2025, 4:11:53 PM