『一筋の光』2023.11.05
夜空の星のようなキラメキをあの人は持っている。オレとは違って、根っからの正義の人だ。
あの人はみんなを笑顔にする。オレは、どうだろう。偽りの正義で、人を笑顔にすることが出来るだろうか。
更生した、と自分で言うのもおかしいが、少なくとも以前までのような悪さはしていない。それをするとあの人は叱るし、悲しむ。
それでも、不安の種はつきない。もともと、そういう産まれなので、いつその血が優って悪さをするかもわからない。
だから、この地にいないほうがいいのかもしれないと、考えることもある。
試しに遠くに行ってみる。オレを知らない土地へ。
そこでホテル暮らしをしていると、きまってあの人はふらっとやってきた。
奇遇だな、なんて言って。
そんなときのオレは、決まって憂鬱をこじらせていて、ホテルの部屋に閉じこもってウジウジしている。
一寸先は闇だと信じて疑わないオレに、あの人は光を降らせてくれる。
お前がいるべき場所はこっちだと、オレの手を取って引っ張り上げてくれる。
強く優しく気高い、燃える太陽のようなあの人は、オレにとって一筋の光なのだ。
11/5/2023, 12:14:58 PM