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 「なぁ君、どこまで歩くんだい」
 ……どこまで? 考えたこともなかったな。

 「なぁ君、いつまで歩くんだい」
 分からない。疲れるまでかな。もしくは足が、止まるまで。

 「なぁ君、なんで歩くんだい」
 さあ、その答えを探すために歩いているんだろうよ。

 ああ、ああ。
 そう、知りたがるなよ。
 僕らどこまで行ったって、何も分かりやしないんだ。
 一寸先の未来ですら、碌な予測も立ちやしない。全く、いつだって簡単なもんじゃあない。
 けれど君、問うばかりの君、確かな答えはなくたって、悪いもんばかりじゃないって、思うこともあるだろ?

 ならそれでいいじゃないか。

 終わらせたいのならいつでも、けれど、ほんの少しでも、勿体ないと思うのなら、きっと君の足は動くよ。

 肯定も否定もしないよ。僕は君じゃないからね。それにやっぱり、君の未来なんて分かりもしない。もしかしたら今より幸せな瞬間なんて、ないかもしれないね。けれど10年後に、石油王になってるかも。
 分からないならさ、それはどこまでも、確率の話だよ。たらればの話、明日隕石が落ちるかもとかさ、そういう話なんだよ。でもって、何人たりとも、明日隕石が落ちないなんて言えないものな。

 つまりさ。
 僕ら、意味を求めたいように見えるけれど。そんなものはさ、今は絶対、分からないんだよ。でも歩いていたら、ある日唐突にゴールに着いている。その時になって初めて、分かるんだ。きっとね。

 果てのゴールに何があるか?いやいや、決まってなどいないさ。
 だから今は、ただ足が赴くままに。

【旅の途中】

1/31/2025, 11:03:58 AM