SAKU

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この集落を縄張りにしているカラスが2羽居る。わたしは、カーコとガーコ、と呼んでいる。この2羽のカラスしか、カラスを見たことがない。

道を挟んだ向こう側に、以前、独り暮らしのおばぁさん(80代後半)が住んでいた。ラジオの音楽に合わせて、口笛を吹くのが上手なおばぁさんだった。

カーコとガーコはほとんど毎朝、おばぁさんの家が見下ろせる電線に留まり、ワーワーガーガー鳴いていた。

おばぁさんが出てきて、「あんたたち、何言っての? うるさいよっ、何言ってんの? どうしたのっ」と、

話しかけると、余計にワーワーガーガー騒いで埒が明かない。

おばぁさんが諦めて家に入ると、カーコとガーコはいつの間にかどこかへ行ってしまう、というのがいつもの光景だった


おばぁさんが施設に行ってしまってからも、カーコとガーコは集落を縄張りにしているけれど、うるさく騒ぐことはもうない。

先日野原で、カーコとガーコがトコトコ散歩していて、わたしが「カーコ!ガーコ!なにしてんのっ」と言っても知らん顔だった。


そのうち、わたしがおばぁさんになって、、(カーコとガーコも長生きしてくれたらだけど)、、話しが通じるだろうか。。

おばぁさんが座っていた赤っぽいブラスチックの、たぶん100均の踏み台が、朽ちるでもなく縁側の石の所に残されたままだ。



10/19/2025, 11:18:32 AM