雨が降る夜の街。聞こえるのは雨が地面に落ちる音と、自分の足音だけ。車の音も、工事の音も、人の話し声も何も聞こえない。雨の音で全ての音が吸い取られているんじゃないかと錯覚する。ここに居るのは私だけなんじゃないかと錯覚する。私はずっとここの住人だと錯覚する。錯覚させるのが得意な幻想的な街。そんな街が私は好きだ。少しでも長くいたいけど、二度と帰れなくなってしまうその前に戻らないと。幻想と現実は対の世界。 雨が止むその前に、さぁ帰ろう。
6/11/2022, 2:44:09 PM