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私だけ皆に見えていないみたい。まるで透明人間。話の輪に入れない。たまに優しい人が声をかけてくれるけど、うまく話を繋げない。申し訳ない気持ちになる。
つまらない人間でごめんなさい。ノリが悪くてごめんなさい。声が小さくてごめんなさい。目つきが悪くてごめんなさい。
全然そんなつもりはないのに、睨んでいると言われる。気を抜くと真顔になってしまうので、なるべく笑顔でいるように心掛けているつもり。つもり……なのだけど、気が付くと怖い顔になってしまっている。鏡を見てハッとする。

ああ、なんで生きているんだろうと、毎日思う。いっそ本当に透明人間になれたらいいのに。

ふと自分の指先に視線を落とすと、透き通って見えた。目の高さまで持って来て、よく目を凝らす。向こう側が見えるのは決して気のせいではない。その内に手の甲、手首、やがて腕全体が透明に変わった。
驚きよりも嬉しさが勝った。
透明人間になれたのだ!私だけの世界に来れた。これで周りに迷惑をかける事もないし、もう言い訳を探さなくて済む。

とはいえ急に行方をくらますのは、それはそれで迷惑なのではないか。
念の為職場に行ってみたが、何処にも私の痕跡は無かった。思い切って上司や同僚に挨拶してみる。だが返事が返ってくる事はなかった。
透明人間になると存在まで消えてしまうのか?それとも私という人間は初めから存在していなかったのか?
私は一体いつから透明だったのだろう。

7/18/2024, 6:21:21 PM