一尾(いっぽ)in 仮住まい

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→短編・夕方の橋の上で。

 車の行き来が激しい車道の、オマケのように併設された細い歩道を歩く。車メインのそんな道を歩く人はあまりおらず、歩道には雑草が顔をのぞかせている。たまにクラゲっぽいビニールゴミが落ちている。
 埃と排ガスの匂いが、常につきまとう。汚れのたまったガードレールに触れないように気をつける。
 川をまたぐ橋に差し掛かり、橋の鉄鋲に浮く赤茶色の錆に目を向ける。
 何となく橋の真ん中で足が止まった。惹きつけられるように川を見る。テラテラと川面を照らす夕日が眩しい。
 背後を振り返ると、たまたま車の往来が途絶え、長く尾を引く自分の影が車道にひとり、ポツンとあった。
 妙に物悲しくて、心の奥がシンと冷えた。

テーマ; 寂しさ

12/19/2024, 3:51:33 PM