人さがし

Open App

─初恋の日─

初めて会ったあの夏に、僕は君に惚れたんだ。

病院の近くで、太陽の光に当たっていた君に。

君は毎日外を歩いていたよね。

秋は綺麗な紅葉ではしゃいで、

冬は「寒いね」って笑って、

春は桜を見ながら微笑んでいたよね。

僕が君に惚れてからちょうど一年の夏だったかな。

君が珍しく外に来てなかったよね。

「その日だけかな」ってあまり気にしなかったけど、

やっぱりちょっと可笑しかった。

それから外で君を見ることが一つも無かったから。

僕は心配になって君の元へ行ったんだっけな。そこで僕は泣いたよ。

君がいたはずの病室は、まるで最初から君が居なかったみたいに誰も居なかったから。

その景色を見てすぐに理解したよ。知りたくなかった現実を。

君は亡くなったんだって。認めたくなかった。

初恋の日から一年と一ヶ月。君が持病で亡くなった。

とても悲しくて、その日はずっと泣いていたよ。

それほど大好きだったよ。君のことが。

今は亡き君へ。

僕はこの恋文を送るよ。

5/7/2023, 12:07:21 PM