五月雨かなめ

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✦ 短編「雫になった約束」

あの日の僕は、強いふりをしていた。
守れると思っていたし、守れる人間だと信じたかった。
だから言ったんだ。
「君を泣かせるようなことはしない」って。

でも現実は、君の頬を落ちた雫が全部壊した。
僕の自信も、言い訳も、強がりも。
あの一粒だけで、全部。

君が泣いた理由は、僕だ。
僕の弱さが、君の涙になった。
その事実だけが、胸の奥でずっと重く沈んでいる。

あの時、君の涙を見て思った。
守れなかったんじゃない。
守る覚悟なんて、最初から持ってなかったんだって。

雫は、君の涙であり、
僕が壊した約束の形だった。

今でも思い出すたび、胸の奥が少し痛む。
でもその痛みだけは、手放したくない。
忘れたら、また同じ弱さで誰かを泣かせてしまう気がするから。

あの日の雫は、
僕が僕自身に突きつけられた真実だった。

4/22/2026, 12:34:25 AM