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「不味い料理なら、食べないほうがマシ。難しい課題なら、やらずに怒られたほうがマシ。生きるのが辛いなら、死んだほうがマシ」
そう言い切ったら、壁のシミに笑われた気がした。
「確かに、流石にそれは言いすぎたかも。だったら僕、とっくに死んでるもんね」

数ヶ月干されずに固くなった布団で、寝返りを打つ。制服のままだったが気にしない。カーテンの隙間から漏れた光の柱を手で掬う。近所から子ども達の笑い声が聞こえた。

「人と関わっても良いことなんてないんだから、一人でいたほうがずっとマシ!」
壁のシミは何も言わない。当たり前だ。
「わかる? 話しかけたら舌打ちされて、誘いを受けたらため息つかれて、断ったら「だよねー」って笑われるの! ア、思い出したら吐きそう」
身体を丸めて腹を抑える。口を大きく開けてみても、何も出てはこなかった。当たり前だと言っているだろう。不幸のフリをするのはやめろ。不愉快だ。

「だからって、一人でいたい、わけじゃあないんだけどね。はは……」
お前がどう思っていようとも、お前の相手なんかするやつはいない。

7/31/2023, 12:09:13 PM