お題「どうすればいいの?」
「別れよう。」
その時、私の全てが色褪せていく感じがした。
時が止まったかのような感覚に至る。
何かしたっけ、なんて記憶を探るけど、何も思いつかない。
ただひとつだけ分かるのは、もう彼は私なんて見ていないということだけ。
「そっか…。ありがとう、今まで。」
私は、未練があっても彼を突き放すことしか出来なかった。
引き止めたいけれど、もう私にそんな権利は無い。
早くこの場から立ち去って、ひとりで泣き喚きたかった。
零れそうな涙を必死に抑える。
「うん、こちらこそ。じゃあね。」
遠ざかっていく好きだった筈の彼の背中が、虚しく思える。
“またね”といつもの言葉も、“じゃあね”という言葉に変わってしまった。
もう、二度と彼と会うことは無いのだ。と気付かされてしまう。
「私は、どうすればいいの…?」
貴方のお陰で彩っていた世界じゃないと、楽しくない。
ぽつりと呟いた言葉は誰かに届くことなく、空に溶けて言った。
11/21/2022, 10:28:26 AM