#鶴のお約束
雪が降る寒い冬の朝、私はひとり静かな池のほとりに立っていた。そこに、1羽の鶴が舞い降りた。白い羽が風に揺れ、静かに池の水面に映る姿が美しかった。
その時、ふと思い出す。母が昔言っていたことを。「鶴は、長い年月をかけて一度交わした約束を守り続けるんだよ。」
その言葉を聞いてから、私はずっと心の中で鶴との約束を交わしたような気がしていた。目の前の鶴が私を見つめていた。そっと心の中でつぶやく。
「いつか、必ず会いにまたここに来ます。」
鶴は何も言わなかった。
静かに私の方へ歩み寄り、羽ばたいて空へと飛び立っていった。その姿を見送りながら、私は確信した。
約束は、確かに交わされたのだと。
題名: 約束
3/4/2025, 12:14:10 PM