ここしばらく、
私の手にはいつも小さな愛が握られていた。
それは、放っておけばあっという間に
なくなってしまうような
本当に本当に小さな愛。
だが、私にはその小さな愛が必要なのだ。
愛は、とても冷たい。
愛というものが、温かで優しく幸せなものだと誰が決めたのだろう。それはまやかしだ。
愛は冷徹で、堅固で、そして時に耐え難いほどの痛みを与える。私は身を切るような痛みに、幾度となく口を押さえて泣く羽目になる。
それでも、私は今日も愛を求める。もはや愛なしで行きてゆく術を私は忘れてしまった。
愛は、とても脆い。
崩れて消えてしまわぬように、時を止めた箱の中で、じっと身を潜めている。誰にも見つからぬように。
だが、愛を狙う者のなんと多いことか。愛はいつも争いの種となり、恋人や友人、家族の絆さえも時に引き裂いてしまう。
そしていま、私は絶望の只中にいる。
愛が無い。愛が無いのだ。探し求めた愛が無いのだ!
箱の中、血眼になって掻き回しても
愛の一欠片も見当たらない。
この灼熱と化した地獄のような世界に、たった1つの愛も無く、私はどうすればいい。この世界の希望は、すべて失われてしまった…
ガチャ
「あずきバーとチョコのやつ買ってきたけど、どっちがいい?」
そのとき、救いの福音が鳴り響く。
手渡された愛は、水を滴らせ、いつもよりほんの少しだけ柔らかく、優しい愛だった。
真夏の午後。
愛すよ。私は君を愛すよ。
6/25/2025, 11:40:43 AM