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「どんな感じー?」
「顔隠れたー!」
「はぁー?!この期に及んでそれー?!」
「もうちょっとだからー!」
「もう針金仕込んだほうが良いよ絶対に!」
「やだー!風だけでふわっとさせるのー!」
「だってもう夕暮れになっちゃうよ!」
「まだもうちょっと!!」
「駄々っ子め!加工でも何でも出来るでしょ!」
「うちの天使が一番可愛いんだもん!!
 天下に完全証明するんだもん!!」 
「嬉しいけど此処に於いてはお馬鹿!!」

‹風と›


走っていけるよ何処までも
そう言って彼は星になった
最後の最後まで全部全部
そう言って彼女は書になった
これは輝かしい未来のため
そう言ってあの子は像になった
せめて自分で出来るだけ
そう言ってその子は有名になった
誰もかれもその生を
一繋ぎストーリーに語るけど
デートの服で悩んだり
オレンジの野菜が嫌いだったり
ゲームに勝てなくて泣いたり
どうにも捨てられないモノがあったりした
そういう些細な、些細なことも
大切な生の一部だったこと
もう誰も知らないけれど
もう誰も覚えてないけれど
ただのヒトだった頃の事も
全てがその道に続いていたと
朽ちた教室で夢を見た

‹軌跡›


例えば目尻に輝くラメ
甘く柔らかな頬の色
紅指す唇の艶めきに
計算づくで香る肌

化粧が嫌いで
お洒落も知らず
日の下駆け回っていた貴方を
それほどまでに美しくさせた人
貴方が恋して愛した人

悔しさを飲み込んで
せめて一等に笑って祝おう
私の大事な友人に
必ず必ず幸あれと

‹好きになれない、嫌いになれない›

5/2/2025, 9:53:50 AM