「こんな夢を見た」から始まる小説

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こんな夢を見た。私は一人荒れ地に立っている。何故ここにいるのかは分からないが、ここが不毛の土地ということだけは分かる。
「うわ…雑草が一本も生えてない」
あまりにも酷い有様だったので、正直な感想を漏らす。すると、荒れた土肌の間からニョキニョキと緑が見え始めた。あっという間に私の膝丈ほどの高さの草が生い茂り、荒れ地を覆った。首を傾げ、独り言を続けた。
「土の質が悪いのかな?地面が乾燥して割れてるし、水が足りないのかも」
すると急に雨が降りだし、しばらくすると乾いた土が水を含んだ黒土に変わった。やっぱり、私が言ったことが反対になるんだ。それなら…。
「栄養が足りないから、花も咲かないんだ」
そう言うと、名前の知らない草の間から膨らんだ蕾のついた茎が伸びてきた。ポンッと音を立て、色とりどりの花が季節関係なく咲き始めた。目を輝かせ、顔を近づけると花から声が聞こえた。
「ありがとう、また地面の上に出られるとは思ってなかったわ」
「花が喋った!?」
驚いて後ろに飛び退くと、花は呆れたようにため息をつく。
「喋るわよ、失礼ね。そもそも人間がエイプリルフールに嘘をついたからそうなったのよ」
エイプリルフールに嘘をつくだけで、すぐに花が喋るようになるわけがない。元から喋れる特別な花じゃないのか。
「元は、わたくしだって物言わぬ花だったわ。でも、人間たちが面白がっていろんな嘘をつくから遂に…」
「遂に?」
「人間が発する言葉は、全部嘘になったの。どんなことを言っても、全部反対に実現するのよ」
「だから、喋れるんだ」
「そう。貴女がここでわたくしたちを咲かせたようにね」
「あれ?でも私…」
常に嘘をついている状態なら、花が喋れなくなるはずだ。私はさっきから花が喋ったとしか発言していない。
「嘘は取り消せないのよ。昔ついた嘘は、ずっとそのまま。だから、貴女も発言には気をつけることね。自分の嘘で身を滅ぼすことになっても知らないから」
花の表情は読めないが、心配してくれているらしい。
「それで他の人間は?」
「滅んだわよ、とっくの昔にね。何で、貴女だけいるのか知らないけど」
言葉に絶句していると、花は欠伸をした。
「日光浴は良いわね。わたくしちょっと昼寝するけど、貴女もどう?どうせ、わたくしたち以外居ないんだし」
少し頭が痛くなってきたし、横になるか。私が花を潰さないように横になると、花が小さく呟いた。
「おやすみ、きっと良い夢を見られるわよ」
草の青臭さとどこからか吹いてきた風が心地よい。寝てから考えよう。そんな事を考えながら、ゆっくりと意識を手放した。

4/2/2026, 8:53:14 AM