あなたに届けたい
葬式は昼頃に終わった。私は弟と昼食を済まし、特にすることもないため久しぶりに近所を歩いてみることにした。小学生の頃よく遊んでいた空き地は二階建ての一軒家になっていた。親とよく行ったコインランドリーはローソンになっていた。それに対してネガティブな感情は湧かず、むしろ思い出が誰にも邪魔されなくなったようで、誇らしかった。そう思うようにした。
母が交通事故で亡くなったと知ってからまだ数日も立っていなかった。弟は感情がまだ追いついていないようで、空虚な目でどこか、遠くの方を見つめていた。私は親族のどうともつかない雰囲気に嫌気が刺したため息抜きに外へ出た。昔、兄弟で釣りをした川に着くと、ふと母の笑顔が脳裏に過り、涙が零れた。
不器用だったあなたに届けたい。あなたが手を切りながら作った肉じゃがを、あなたが作った味の濃い味噌汁を、私は愛していました。あなたが育てた恥ずかしがり屋は、あなたに感謝を伝え忘れました。
あなたに届けたい。あなたに届けたい。
1/30/2026, 11:57:49 AM