プラージュ

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彼の転勤が決まった。
これを機に彼女との結婚も決まった。
私も秘密の恋はもう終わりにしよう。

ずっと兄妹のように仲良く育ってきたけれど、これで全部おしまい。

「彼女にプロポーズ受け入れてもらえたんだ!」
と嬉しそうに話してくれた。
話されてしまった。

「そうなんだ!よかったね!」
顔はひきつっていないだろうか…?

「じゃあ今度結婚のお祝いパーティーでもみんなでやろうね。」
声はうわずっていないだろうか…?

私上手くやれてるかな?
…もうだめだ。

「あ、そうだ。今日帰りに買い物頼まれてたの忘れてた!また改めて話そう。またね。」
足早に立ち去る。

どこへ行くのか自分にもわからない。
ただ彼から一歩でも遠く離れなきゃ。
誰もいない公園。
鼻先に冷たいものが当たる。
「雨か…ついてないな…。」
ふいに涙が溢れた。
大丈夫、雨の雫達が隠してくれる。
大丈夫、ここなら誰にも見つからない。
大丈夫、私はそんなに弱くない。

だけど今だけは雨に頼っても良いよね?
この雨がやむ頃にはきっと彼の幸せを願って笑えると思うから。

4/21/2024, 8:55:23 PM