しじま

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 今日は良い天気ですね、なんて汗一つかいていない爽やかな笑顔で言う君。

 こちらは照りつける太陽に焼かれてミイラになってしまいそうだというのに、この暑さのなか悠然とした君が何だか恨めしく思えて。

私は柄にもなく往来で、此方ではごく一般的な挨拶をしてやった。

ギュウギュウと抱きしめれば流石に暑いのだろう、腕の中でモゾモゾと動く君の、日に焼けた肌に薄っすらと汗が滲んでくる。

 心配そうに私の顔を見上げてくる君に「すみません、立ちくらみがして……」と白々しく囁けば、君がすぐ側の喫茶店を指差した。

テーマ「視線の先には」

7/19/2024, 5:26:18 PM