遥かな春

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タイムマシンが発明された頃、いわゆるタイムカプセルが流行り出した
何年後かに掘り起こしたければ、タイムマシンで送ればいい
そうすれば、掘り起こす予定を忘れることも、勝手に誰かが掘り起こしてしまうこともない
土に埋めるよりもよっぽど便利で、画期的だと若者の間で流行り始めた
そこからやがて、何かの折に未来へ手紙を送ることが一種の風習となった

未来の自分に当てて子供が描いた手紙も
成長した我が子への手紙も
残しておきたい恋心も
沢山の手紙が装置の中に入れられ、未来へと送られた


ある時、沢山の手紙が装置の中から出てきた
最初は故障かと思われたが、その手紙の中身を見て人々はそれがただの故障ではないことを悟った
それは10年後の私たちから送られてきた手紙だった

手紙の中身は様々だった
やり残したことを託していたり
子供へ宛てた愛情だったり
誰かに宛てたラブレターだったり

ただ、共通していたのは
全ての封筒に「遺書」と書かれていた

2/15/2023, 11:04:48 AM