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金曜日の夜、同僚に誘われてお酒を楽しんだ。

飲む前まではあんなに意気込んでいたのに。
いざとなると結局、2時間ほどで飽きた。

楽しい夜だった。それに偽りはなくて。
けど、何か足りない。

2件目に行く事はなく、自宅近くの駅にひとり降り立つ23時。

星の見えない空を少し見上げる。

背の低いビルとネオン、どこぞのシンガーソングライターと数人の観客。どこからか漂う煙草の匂いと香水。まだ終わらない夜。

いつもならタクシーを使うけど、今日は歩きたかった。

ちょうど一年前、夏の匂いが漂い始めたこの日。
君はサマーニットのワンピースを着ていた。

あんなに楽しかった夜はもう来ない。
逆に云えば、もう傷つくことも無い。

安堵しながらも、泣き出しそうな群青色の空。

三白眼に似た三日月だけが、全てを見透かしていた。

題:あいまいな空

6/14/2024, 1:20:32 PM