人間でいる資格を剥奪された。
オレは、誰よりも自分のことが嫌いで仕方なかったから、そのせいで、人間不適合者として処罰されたのである。
今のオレは、一匹の毒虫だ。小さな虫けら。オレには、お似合いの命の器。
オレは体をくねらせ、おまえの足から這い上がり、肩に到達する。
そして、おまえがオレの存在に気付いた。
「意外と元気そうだな」
まあな。発声が出来ないので、心中で同意する。
横目でオレを見ながら、おまえは歩き出した。
「落ちるなよ?」
ま、善処するよ。
帰宅して。肩から降ろすために、毒虫のオレに触れるおまえは、怖いもの知らずだな?
「愛してる」と、手のひらの上のオレに告げられた。
オレが、世界で一番好きなおまえは、随分物好きで、シュミが悪い。でも、そのお陰で、こうして側にいられるんだから、嬉しいよ。
4/9/2023, 10:27:30 AM