鶴づれ

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すれ違い


 空がだんだんと赤く染まってきた。
 腕時計を確認すると、約束の時間から二十分過ぎていた。気になる女の子の友達と、一緒に帰る約束ができたというのに。
 もしかして、また迷子になっているんだろうか。
 彼女はとてつもない方向音痴。半年通った学校で、道に迷っていてもおかしくない。
 彼女が寄ってから来ると言っていた、図書室から行ってみようか。


 どうしよう。待ち合わせの時間、過ぎちゃった。
 ぱたぱたと、足音をたてて階段を降りる。
 彼、待っててくれるかな。せっかく恋が進展するチャンスだもん。遅かったね、って笑ってほしい。
「ごめん、おまたせ…」
 待ち合わせの昇降口についた途端、そう口に出す。
「…あれ…?」
 返事がない…。っていうか、彼、いない?
 私が遅れたから?それとも、まだ来てないの?
 …迷ってるのかな?私じゃあるまいし。
 来てないだけってことに賭けて、待ってみようかな。

10/20/2023, 4:45:21 AM