のぞみ

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蝶よ花よ

私は娘を生まれた時から大事に大事に蝶よ花よと育ててきたつもりだった。
娘が小さい時に夫とは離婚し、女で一つで大事に接していた。
けれど、最近の娘とは喧嘩してばかりだ。
愛情は昔も今も変わらないが娘との距離は遠くなっている。流石に高校生ともなれば親に反抗する時期なのだろうか。喧嘩する時にも、私はいつも大人げなく言い返してしまう。
しかし、後から後悔するのだ。
ちょっと言い過ぎたな。
もっと歩み寄れたな。
反省の嵐だ。
ため息をついて料理に取り掛かる。
ご飯でさえ、娘と食べるけれど話さなくなった。
話しかけても無視や冷たい反応をしていて、どう考えても反抗期でしかない行動をしてくるのだ。
仕方ない。今我慢すれば反抗期が終われば大丈夫だ。
そう言い聞かせて日々の生活を過ごしていく。

ある日
娘が彼氏を連れて来た。
いつもとは違った顔をして照れたように笑いながら言う。
「お母さん。この人私の彼氏なの。
お母さんに紹介したくて・・・・・・」
娘ときちんと目を合わせて話したのは久しぶりだった。
娘は私に紹介したかったと言っていた。
いつもの私に対しての態度とは大違いだ。
まあ、それでもいいか。
娘が毎日楽しそうに過ごしてくれたら私はそれで満足だ。
娘に微笑んで
「あら〜、初めまして。この子の母の愛下 絵里です。
どうぞ。上がってお茶でもいれるわ。」
最愛の娘がその彼氏に幸せそうに笑っているのを見てウルッときたことは秘密だ。


                      完

8/8/2023, 11:20:03 AM