友達
思いの丈をほとんど全部話し終えてしまうと、心がすかすかになった気がした。スカートをはいたらこんな心地なんだろうか。
それじゃあ、また、と最後に告げて電話を切った。駅のホームのベンチにもたれて、大きく息を吐く。
彼女にとってのわたしが何なのかはわかっていた。
では、わたしにとっては一体どこに当てはまるのだろう。この愛は、同じものではない。
『やっぱり先生は、私の恩師です』
わたしなんかが。
「ただいま」
「おかえりー。遅かったね」
「ああ……うん、駅で電話してて」
「実家から?孫に会わせて〜っていう」
「いや……」
わたしにとっての彼女は
「……友達と」
へえ、と大げさに目を丸くしてからかう。
「あなたに、長電話するぐらいの友達いたっけね」
「残念。それがおるんですよー」
着替えようと自室に引っ込む。ちょっと思い出してスマホを取った。
30分前の通話履歴を消しかけて、その手をとめた。そうか、友達なら削除する必要はないんだな。
心のすかすかを感じる。秋晴れの今日の空みたいな、すかっとした心。
『彼女と先生・おまけ』
10/26/2024, 12:58:35 AM