【明日世界が終わるなら......】
どういう話の流れだったか。
学校で数人の友人と話していて、
「もし明日世界が終わるなら誰と過ごしたい?」
という話になった。
みんなは恋人とか家族とかペットとか推しとか、いろんなふうに答えていたけれど、私が一番に思い浮かべた顔はそのどれでもなかった。
同じ教室の対角線上。静かに本を読む眼鏡のあの子。私が密かに憧れている相手。
ちらりと視線を向ければ、ちょうど彼女が本のページをめくったところで。長く白い指がするりと紙を動かす様を見て、ドキリとして、視線を戻した。
彼女とは、小学校から同じクラスで進んできた。でも、話したことはない。
外遊びが好きだった私と彼女の間には接点はなくて。なのに、いつの間にか、彼女の凛とした姿に憧れるようになっていた。
別に、好きとかではない。そうなのだけれど、なぜか惹かれる。それが私にとっての彼女。世界の最後の日に共に過ごしたい相手なのだ。
もし明日世界が終わるなら、彼女は誰と過ごすんだろう。世界の最後に、彼女はどんな姿で何をするのだろう。
そんな思考で頭がいっぱいになる。想像が溢れる。
自分でも、話したこともない相手にこんなこと思うなんてどうかしてると思うけれど、もはやこの思考はオートマティックで、制御できない。
「やっぱり家族かなー」
口から嘘の答えを吐きながら、また彼女のことを盗み見る。
ふと、彼女が本から視線を上げて、バチリと目が合う。私は慌てて視線を反らした。
頬が熱い気がして、周りの友人にバレなければいいなと思った。
彼女の目は、なぜか笑っていたような気がした。
5/6/2026, 4:08:33 PM