貴方の前髪はいつも長い。
だから貴方の目は見えないけれど、私はそれが好きだった。
長い前髪の下。
貴方はいつも頬を染めて、恥ずかしそうに、控えめにはにかんで……。
貴方の瞳は、何色なんだろうかと。
貴方の働く店で買った、花を見ながら考える。
金色の髪色に似合う、暗い青色か。暖かい太陽のような、橙色か。
ふと考えてしまえば、私のアタマは貴方を想ってしまって。
道を彩る、水を混ぜたような、淡い桜。
そのしだれ桜のような貴方は、ゆったりと、いつだって私を見下ろして。
……貴方のその金髪が、風に吹かれて散ってしまったら。
恥じらう貴方の瞳を、私は見られるのだろうか。
……なんて。
そんなくだらないことを考えているうちに、道の桜は少しずつ、春風に散っていく。隣の街では、もう葉桜になってしまったらしい。
相変わらず、貴方の桜は散らず。
今日も貴方を彩っている。
■お題【桜散る】
4/17/2026, 1:40:24 PM