ひどりみ

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【勿忘草】

 あなたからもらったその花で、私は恋占いをした。五枚の花弁をつけた小さな花。
「好き。」
 勿忘草というらしい。少しはにかみながら教えてくれたその名前も、表情も、きっと二度と忘れられないのだろう。
「嫌い。」
 それは呪いと呼ぶべきか。想っていても苦しいだけなのに、断ち切れない。
「好き。」
 初恋だった。そして、私の人生を決定づける恋だった。異性と恋をしてみようとも思ったけれど、あなたに替わる人なんていなかった。
「嫌い。」
 結果は分かりきっていた。花占いの結末も、恋の結末も。
 あなたは今日、新たな家族となった人の元へとこの土地を発ってしまった。私に恒久の友情を誓って。それがどんなに残酷なことかも、ついぞ私は口にできないまま。
「好き……」
 茎だけになったそれを、いつまでも見つめ続ける。花弁はもう戻らない。あなたももう、戻らない。
 湿っていく花弁が青色なら、真実の愛を示していたのに。散ったそれは、真実の友情を示す恋の色をしていた。

2/3/2026, 12:20:44 AM