あの頃、一人じゃ何も出来なかった。
逆に言えば、一人じゃなかったから何でも出来る気がしてた。
大人になって、それが勘違いだと気付くまで。
友達の存在は、きっと毒にも薬にもなり得るだろう。
意気投合すればするほど、自分達は最強なんじゃないかと錯覚する。
神様がベストマッチさせたんじゃないかと。
んな訳はない。
それなりに、お互いが気を遣って接している成果だろう。
人は誰かと仲良くなりたいと思うほど、その人のことを意識するはずだ。
他人でいいなら素通りするだけだろう。
運命の出会いなんかない。
本当の親友に出会えたと思っても、時が過ぎれば当たり前に疎遠になったりする。
向こうが新しい親友を見つけたのかもしれない。
自分の生活環境が一変したのかもしれない。
友だちの思い出。
勘違いして調子に乗ってた。一人じゃ何も出来ないくせに。
ドラマの主役になったような錯覚で、夜通し走り回ってた。
ハメを外すこともあった。
公序良俗に反することだって、自分達なら許されるんじゃないかと思ってた。
バカだった。
イイことも悪いことも、そいつと一緒にいるフィルターで見てた。
だから、いつだって世界が明るく見えた。
だけど、そのフィルターを外して見る世界は、不安だらけで心細かった。
結局、リアルを忘れるためのドラッグみたいなものなのかも、友達なんて。
…いや、違うか。
友達の存在は、毒にも薬にもなり得るんだ。
たとえ意気投合しても、運命の出会いだと思えても、自分の中に越えない一線を持って、それだけは死守するつもりで付き合えばいい。
そんな友だちの思い出を、宝物として残すために。
いずれ、あっけなく他人に戻る日が来るかもしれないんだから。
7/6/2024, 1:11:53 PM