ほろ

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「大変大変! 遅刻しちゃう!」
真っ暗な星一つない夜の中を、少女は駆けていた。
彼女の先輩や同輩はすでに準備を終え、規定の時刻を待っている。願いを詰めるためのボトルを忘れなければ、彼女は今頃仲間たちと談笑しながら、規定の時刻を迎えていたはずである。
「間に合え〜〜〜!」
集合場所に滑り込む。まだ笑い声が聞こえる。ギリギリ間に合ったらしい。
彼女は自分の名前が書かれたスクーターに乗って、息を整えた。あと数秒。

『星の子達よ、時間です! 行きますよ!』

時間になった。最年長の先輩の合図と共に、一斉に地上へ向かう。彼女もグ、と足に力を込めて、思い切り空を蹴る。

星の子である彼女たちが、年に一度行う行事。願いを集めながら地上に向かって、その願いをボトルに詰めたらまた同じ道を戻る。星集めの儀式、と誰かが言っていた。
「いっぱい願いを集めるぞ〜〜!」

彼女の叫びは、地上には聞こえない。代わりに、彼女の体が叫びに呼応して一際輝く。
それを見た人々は、こう言うのだ。

「あ、流れ星!」

4/25/2024, 2:05:09 PM