長く続く闘病に、疲弊していく両親に、
僕の生きる価値はなにかと、問いかける。
僕の存在が重くのしかかる両親にそれを問うたとき、なにも答えないことこそがその答えだと、あの日僕は知った。
そしてその日から、僕は夢の中に閉じこもった。
夢の中では僕は何でもできた。走ることも、大声で笑うことも、学校に通うことも、友だちを作ることも。
抑圧された感情を解き放ち、自由に、思いのままに、ただ在ることだけが許される。
そんな夢と現実ならば、選ぶ必要などないでしょう。
深く、深く、眠って。
二度と目覚めることがないように。
僕は、僕として必要とされる夢の中で生きていたい。
だからどうか僕を諦めて。
身体に繋ぐ生命維持装置なんていらない。
僕という枷を外して、どうか穏やかに過してほしい。
手を握られる優しさに、涙を流す温かさに、
決意が揺らいで戻りたくなってしまうその前に、
もっと眠りの深みに落ちていこう…。
【夢と現実】
12/4/2023, 4:07:04 PM