君と出逢って、私は自分の醜さに気づいた。
17才になった君が、私の顔を初めてみたあの夜。
薄茶色の瞳が氷のように固まってゆくのがわかった。
怖いかと尋ねると、君は素直に頷いた。
触れてみるかとさらに聞くと、君は静かに首を振る。
昔から君の飾らなさが好きだ。
幼い顔立ちで、こまっしゃくれていて、喧嘩っぱやく、花びらみたいな唇をよく尖らす。ときどき黄金色の夕陽に溶けてしまいそうな、もの寂しげな表情をする。男と出ていった母親の帰りを、いつも待っていた。
君を不幸な子だと思っていた。
だから狂おしいほどに愛おしかった。
私も自分を不幸だと思っていた。親の暴力で潰された顔のまま、人目を避けて生きるしかなかったのだから。
でも君と出逢って、そんな私自身の生を許せるような気持ちにすらなれた。これが愛だと囁く声は、私を静かに歪ませた。
君となら幸も不幸も分かち合える。
微かな確信に導かれ、美しく成長した君にこの素顔を晒したのだ。
君の瞳は凍りついたままでいる。細い肩を震わせて、私の手から逃れる。
「近寄らないで」と、青白い顔が訴えている。
私は、私の生に絶望している。それでも君に惹かれるのをやめられない。私はただ醜い。
『君と出逢って、』
5/6/2026, 9:49:09 AM