ミツ

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※不快になるような発言が入っている可能性があります
あくまで個人の見解です

「じゃあ、今日は「あの頃の私へ」という題材で手紙を書いてみて下さい!」

学校の授業はいつも退屈。

だって、楽しくないんだから。

先生はいつも真面目。

当たり前か。

「書き終わったら持ってきてね」

「先生〜、どれくらい書くんですか?」

「今、作文用紙配るからそれの両面びっしり。最低でも一枚は書いて」

「え〜」

不満の声が挙がる。

黙ってろよ。

わざわざ声に出す必要が何処にある。

本当嫌になる。

馬鹿ばっか。

うざいんだよ。

「どうする?」

そんな事も一人で決められないとか可笑しいでしょ。

可哀想。

いい加減他人に依存するのやめたらいいのに。

「ん〜、昔の事とか覚えてないし、4年の頃に向けて書くわ」

「私もそうする」

まるで、寄生虫みたい。


「はい、皆さん書けましたか?目を通した中で優秀だったものは凛(りん)さんのものです。皆も頑張ってね」

「流石凛ちゃん」

「いいなぁ~」

煩い。

作文の出来が良いくらいで騒ぐな。

これだから猿は困るんだよ。


「美桜(みお)さん。どうしたの?まだ何も書けてないじゃない」

良いだろ。

別に。

関係ない。

「悩んじゃったのかな?何でも良いから何歳の自分になにか言いたい事があった書いてみたら?」

「無いです」

「…先生、心配何だよね。周りと距離がある気がして馴染めて無いんじゃないかな」

「別に、普通に喋ってますけど」

「そっか。本当、なんかあったら言ってね」

「はい」

面倒くさい。

介入してきてほしくないのに。


「どうだった?」

私はいつも、顔も知らない男の子と会話をする。

と言ってもチャットで何だけど。

その日にあった事とか、ストレスになってる事とか。

家族とかよりも自然に吐き出せる。

ここだけが唯一、私の拠り所。

「つまんなかった」

「まぁ、そうだよね。そう言えば今日嫌なことがあってつい言っちゃった事があるんだけど」

「なんて言ったの?」

「何か、勉強したくねぇ、とか言う人がいて気に止めてもなかったんだど

授業の妨害してきて全然進まなくて」

「酷いね」

「学校は勉強する所で勉強しに来てるんだから勉強しろよって言ったの

そしたら相手も何で勉強する訳?義務教育って何でやるのって」

「うん」

「最低限の知識身につけて就職する為に決まってんだろって言ったんだよね」

「そっか」

「どう思う?相手の方は黙っちゃって授業は再開したんだけど、その後先生に呼び出されてあんなに言わなくて良かったって」

「先生も酷いね、何か腐ってそう」

「そうなんだよね」

「笑」

「親に呼ばれたわ、また明日」

「うん」

PCの電源を落とした。

途端にやることがなくなる。

宿題まだあったかな。

ランドセルに目を落とすと作文用紙が出しっぱなしになっている事に気がついた。

「書くかぁ〜」

家で書いてこいと渡された作文用紙。

ペンを握るもやる気が起きない。

書くことが無い。

この作文用紙を埋めるには、変わっていないでは駄目なのだ。

何か、私が変わっていないといけない。

駄目だなぁ。

何も変わってないなんてそんな事、無いと思うけど。

思いつかない。

取り敢えず題名だけでも。


                              あの頃の私へ
                                                           齋藤 美桜
私は、


「私は、変わっていません。」

「何一つ成長していません。」

「虚しい…」

これを読んで過去の私が考える事も今の私と同じです。

私は人と接する事が苦手です。

相手の駄目ところを探ってしまう。

自分のだめなところを見せようとする。

変わっていないんです。

だから、恥ずかしいとか、可笑しいとか、バカとか、出てこないんです。

他人の事はいくらでも罵れるのに。

自分の事は罵れ無いんです。

酷いですよね。

私は、人に見限られるのが怖い。

限界を知られるのが怖い。

バカにされて、笑われるのが怖い。

過去の私は今の私が何でこんな事を書いているのかわからないですか?

それとも、全てわかってしまいますか?

私が敬語を使っている理由も分かってしまいますか?

何か、一つでも考え方が変わっていたら、過去の私には今の私の考え方がわから無いと思うんです。

探して下さい。

探す事は得意でしょ?



「ふぅ~」

ここまで書いてもまだ原稿用紙は埋まらなかった。




「そうそう、こんな事を書いてたんだけ」

「なんか、無茶振り」

「そうかな?」

「しっかし、昔はこんな風に思ってたんだ」

「うん、自分に自信が持てなかった」

「だから、あんなアプリ使って僕と話してたの?」

「そうだけど、違うの?」

「違うね、僕は逆に自信がありすぎて悩んでたんだ」

「あはは、そっか」
         
あの頃の私へ。

変わったよ。

驚く程に。

大丈夫。

だけど、今すぐ前を向けって言ってる訳じゃない。

そうやって挫折して今の私があるから。

いっぱい挫折して、最後は思いっきり楽しんだら良いよ。

ね?

昔の私はこんな考え方出来なかったでしょ?       


                             ーあの頃の私へー

5/24/2024, 12:05:55 PM