るに

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苦しかった。
毎日が海の中みたいで
息が吸えなくて、
どんどん減っていって。
魚たちが後ろを泳いでいく、
そのちょっとした波で
私は遠く流される。
ヒレもボロボロで
泳ぐことさえ出来なくて沈んで。
私は鮭みたいに
根気強くないから。
私はカジキみたいに
上手く泳げないから。
何もないのに
涙だけが零れていって
涙だけで溺れてしまうから。
紅茶の香りも
本の内容も
私には届かないの。
音楽が私を埋めてくれるの。
と、
柄にもない事を言ってみた。
後から恥ずかしくなってきたけど、
まー、すぐ忘れるし。
つい昨日読んだ漫画の絵が
女の子が電車に乗ってたら
海が押し寄せて
だんだん溺れるみたいな感じの絵で、
この女の子は
どんな事を思ってるんだろうとか、
この一角だけで
前後の物語を創るとしたら
どんなのになるかなーとか
考えてたら
音読したくなってきて。
でもこういうの、私結構好き。
深海に沈んでいく
何も出来ない魚。
爪を磨きながら考えた物語は
布と布を並縫いで合わせたような
ちょっとガタガタしてて
すぐ解けそうな話だ。
ストックしてるフルーチェの箱の
数を数えながら、
スピーカーをつけて
音楽をかける。
抹茶をコップに入れて
テレビをつけようと思ったけど
やめた。
暇だなぁと思うけど
耳をスピーカーに傾け続けた。
"Good Midnight!"
ケーキもお菓子もない
今日だけは
音楽に溺れていたくて。

10/27/2024, 12:05:49 PM