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 しんと冷え込んだ空気を肺に取り込む度に、つんとした空虚さが胸の中に木霊した。持久走の日に学校に行きたくなかったことを思い出す。心は特に、あのときを通り過ぎてはいないけれど。
 いっそ足の一本や三本でも折れてしまえばいいと思っていたけど、そうしてなくてよかったな、って今でもあまり思えていない。嫌だったなあ…を、あと数十年すれば笑うようになるのだろうか。秋風が指の先を撫でる。手袋はいつも無くすからひとつも持っていない。今年こそを繰り返して今度こそ、って…また失くしちゃうんだろうか。瞬く間に消えて行く季節が木々の色をひっくり返していく、その様子がちょっと愉快だ。

11/15/2023, 4:55:40 AM