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またね! はじめまして 空に向かって です

またね!

「またね!」
と手を振り、みんなと別れた卒業式から10年が経った。
「地元にいるのに、友達以外の同級生に会わないんだよなぁ、不思議と」
と思っていたら、同窓会の知らせが届いた。
「同窓会か。みんな来るかな。来るといいな」
俺が覚えているみんなは、学生のまま。その姿が、同窓会で大人へと更新される。
「楽しみだなぁ」
もしかしたらそこで、彼女ができるかも…。
「よしっ」
みんなに会ったときにカッコいい姿を見せようと、体を鍛えることを誓った俺だった。


はじめまして

「はじめまして」
から始まった僕の恋。友達にも教えることなく、誰かに知られることなく、僕の心の中で少しずつ大きくなっていた。
「どうしようかな、この想い」
もちろん、キミに伝えるのが良いと思うし、伝えたいという気持ちはある。けれど、キミの隣はすでに埋まっているから、伝える僕はスッキリしても、伝えられるキミは迷惑なんじゃ。と思ってしまう。
「どうしたらいいんだろう」
迷った僕は、頼れる友達に相談することに決めたのだった。


空に向かって

両手をぐっと、空に向かって伸ばしたら、空を自由に泳ぐ雲を、つかまえられないかな。
もしつかまえられたら、その雲に乗って、新幹線の距離に住むキミに、今すぐ会いに行けるのに。
「こんなときに、キミのそばにいれないなんて…」
毎日しているキミとの電話。気づかれないようにとキミは明るく話していたけど、元気がないのは明白で。
「こんなときにそばにいてやれない俺が、キミの彼氏と名乗っていいのか?」
自分に向けた問いの答えは当然
「いいわけねえだろ」
に決まってる。
「よし」
今はもう新幹線が動いている時間ではない。
明日の朝一番の新幹線に乗り、キミに会いに行くと決め、俺は早く寝るのだった。

4/3/2025, 8:14:00 AM