「心の旅路」
この世界って良いところばかりじゃない。むしろ嫌なところの方が多いかもしれない。毎日、どうにか生きていくのに必死で、楽しそうに生きている人を見ると苦しくなることもある。あの人と私は何が違うのだろうか。どうして私はこんなにも息苦しいのだろうか。どうして私はみんなみたいに頑張れないのだろうか。どうして、どうして、どうして。
どうして、って心に聞き続けていると、心がどこかに飛んでいってしまうことがある。自分の心のはずなのに、何にもわからなくなって、形すらも見失ってしまうことが。
逃げていった心を追いかけるには、心の旅路を追うしかない。嫌な現実から逃げて、どこかにいった心の痕跡を辿る。向かい風に負けて、草原を風に乗って流された。旋風に飲まれて雲の上に飛んでいった。雲から落ちて海に沈んだ。水面に煌めく太陽が眩しくて深海に潜った。
心の表面を撫でて、ささくれだった苛立ちを宥める。心の上部に入り込んで、沸き立った言葉を掬い上げる。心の深部に潜って、沈めてた本音を手に取る。
ずっと溜め込んでいた苛立ち。口に出せずに飲み込んだ言葉。胸の奥にあったモヤモヤ。心の中にずっとあって、それなのに見ないフリしていたあれこれと、向き合って、受け止める。
飛んでいった心を捕まえて、抱きしめて、抱えて。そうしてやっと、私は明日もなんとか生きていくことが出来る。自分の心を無視していたら、またどこか遠くにいってしまうから、これからはちゃんと、しっかり両手で大切に抱えていかなくちゃいけない。腕の中の心が、少し温かくなった気がした。
12/28/2025, 4:43:43 PM