みみかゆい

Open App

突如上空から舞い降りた白い円盤。

円盤から溢れ出した数多の黒い影は、瞬く間に青空を覆い尽くし大地に大きな影を作った。

奴らの名は鳥人族。
背に生えた大きな翼で鳥のように空を飛び、人間よりも高い知能を持つ。

鳥人族たちは高度1000メートルまで降下すると、そこから温度1000℃の光線銃を放つ。
あっという間に大地は火の海となり、この星は鳥人族のものとなった。

それからしばらく月日は流れ、やがて夏になった。

鳥人族たちは地上の至る所に大きな施設を建造し、かつてこの星に住んでいたいくつかの生き物たちを養殖することにした。

この星の生態系に最低限必要な生き物だけが地上に住むことを許され、あとは全て処分された。

養殖される生き物たちは最初こそ抵抗していたが、やがて自らが生き物であることを忘れ、いつしか養殖物として自覚するようになった。

そんなある日、飛んでいた鳥人族たちが落下して命を落とす事故が何件も発生した。

鳥人族が体の一部である翼の扱いを間違えるなんてことは、魚が泳ぎ方を忘れるくらいあり得ないことだ。

しかし、救急のため地上から駆けつけた鳥人族たちも次々と命を落としていく。

何かこの星特有の伝染病があるのでは無いかと、医療に長けた鳥人族たちが原因解明を急ぐが、病原体は見つけられずいつしか彼らも命を落としていった。

次々と倒れていく鳥人族たちはその理由を見つけられず、
とうとう、彼らは絶滅してしまった。

この星で唯一生き残ったのは、鳥人族の食料として施設で育てられた養殖物たちだった。
彼らの施設は常に快適な温度に保つように設定されており、この星の夏の厳しい暑さを乗り越えることができたのだ。

夏バテには気をつけよう。

8/21/2023, 12:38:28 PM