光り輝け、暗闇の中で
己の輪郭だけが薄らと浮かび上がっている。
辺りは真っ暗で上も下も分からない。
水が張り巡らされているように感じる無重力。
取り残されている。
解けない問題を飛ばしたときみたいに。
上手くできなくて辞めたギターみたいに。
やらなくなったゲームみたいに。
ひとりぼっち。永遠に?
それでも手が動く。
足が藻掻く。
目は前を見据える。
頭が回る。
心臓が、鼓動をやめない。
ひとりぼっちで生きている。
いつの間にか地に足がついていた。
手は固く握りしめられている。
目は進むべき道をとらえた。
思考は生きるために巡っている。
心臓が、孤独であることを諦めさせてくる。
もう進めないわけじゃない。
取り残されない力を思い出した。
解けない問題は解けなかった問題になった。
ギターは楽しかった記憶とともに寄り添っている。
ゲームは目の前で起動している。
薄らと浮かび上がっているだけだった己の輪郭は、
生きていることを主張するように。
暗闇の中で光り輝くように、存在を肯定していた。
5/16/2025, 3:54:32 AM