(二次創作)(言葉にできない)
死した者の行く先は何があるのだろうと、ガルシアは考えていた。
ウェイアードでは、死して間もなくであれば、蘇生させることが出来る。肉体が残っていれば、その具合にもよるが、地のヴィーナスの力を使って元の姿に戻せる。勿論、病や老衰で死した者は、蘇らせたとてもう一度死ぬだけなので、あまり意味はないけれど、災害や事故、魔物に殺された者たちには光明である。
では、蘇生が間に合わなかったものたちは?
そこまで話して、ガルシアは息を吐いた。相対するはスクレータ、錬金術の研究者である。死生観については門外漢だが、重ねた年は伊達ではない。
「ふむ、また難しいことを考えだしたな」
スクレータはそう答えた。
「何かきっかけがあったのかの」
「ヴィーナス灯台に行ってきた」
スクレータは口を噤む。それはプロクス族最強の戦士であったサテュロスとメナーディが最期を迎えた場所であった。それから一年以上が過ぎている。蘇生もままならぬだけの時間が流れている。
「彼らには、会えたのか?」
スクレータの問いに、ガルシアは首を横に振る。
「そうじゃろうなぁ……。そも死者を蘇らせること自体、世界の理に反しておる」
結局、死した者がどこにいくのかなんて誰にも判らない。蘇生させた者だって、しばらくの死は意識の欠落でしかない。そして蘇生のエナジーを使えるだけ地のエナジーに長けた者も、絶対数は少ない。ガルシアとて、ジンたちの力が無ければやすやすとなし得ないエナジーだ。
(大体、今更サテュロスたちと会えたとして、俺は何を話したいんだ)
全ての灯台を灯した報告か。黄金の太陽現象後のウェイアードについてか。単に成長した自分を見せたいのか、認められたいのか。ガルシアの思考はぐるぐると回る。それに、だ。万に一つ、生き延びていたとして、あの場所にはもういまい。
(こだわっても仕方がないのは、判っている)
スクレータは、黙り込んだガルシアを静かに見つめていた。
4/14/2024, 7:42:43 PM