百合

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届かない…

3回生はかっこよく見える。
もはや大学における通説のようなものに私は見事に踊らされていた。
サークルは同じだけど自分とは関わりのなかった先輩
最初はなんとも思っていなかった。けど偶然同じ授業をとっていて、先輩を見つけた時に何故か嬉しくなってしまった
それから授業のたびに先輩を探して、話せもしないのにその授業が楽しみで仕方がなかった。
その授業も今日で終わってしまう。
そして来週には先輩はサークルを引退する。
そうすればもうサークルには来なくなるし、見かけることもほとんどなくなってしまう。
先輩のことが好きなのかははっきりとわからないけど、このままは嫌だという気持ちはわずかながらにあった。
前の授業が終わってその授業の教室に移動する。
開始までまだ5分あるというのにそわそわして仕方がなかった。
10秒ごとに周りを見渡す。教室の扉が開くたびにそっちを見る。
授業開始のチャイムが鳴って、先生がマイクで話し始める。
それでも扉はもう開く気配がなかったし、後ろの方で座っている様子も確認できなかった。
すると先生が「こんな日によく来たね」と私たちに向かって言った。なんのことかと思いスマホを見ると時間の上に今日の日付が見えた。
「12月24日」
大学は26日まで普通にあったから全くもって気づかなかった
そうだ…今日クリスマスイブだ

この後の先生の話なんか入ってくる気はしなかったが、私は文字で溢れているプリントを見るために下を向いた

5/8/2025, 2:31:09 PM