かたいなか

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前回投稿分からの続き物。
最近最近の都内某所、某雪国産の雪室コーヒーを、
カッコよさの象徴として頑張って、チャピチャピちゃぴ、飲んで苦さに轟沈した、
背伸び系コンコン、稲荷子狐がおりました。

なお「子狐にコーヒーは苦過ぎるから」と、
人間は美味しいおいしい、雪国の放牧地から生まれたペット用ホットミルクを用意しまして、
子狐はガッツリそっちのミルクも●●杯ほど堪能。
だって美味しかったのです。
ドチャクソに、素晴らしかったのです。

とはいえコンコン子狐としては、
ダウナーな流し目をキメながら、ダウナーな神社太鼓などトントコ聞こえるのを背景に、
くぴくぴ、クピクピ、「美味しい」コーヒーを飲むのがベストな理想。

まだまだ味覚がおこちゃまな子狐には
たとえ雪の中で貯蔵されて苦味の角が取れた雪室コーヒであっても
苦くて、どうにもならんのです。

と、いうことが前回投稿分のおはなしでして。

「おいしくない!おいしくない!」
ここから今回のおはなしの、はじまりはじまり。
「コーヒー、あまくない!おいしくない!」

コーヒーの長旅から戻ってきた子狐です。
修行先から貸してもらっている子狐専用のおうちルームの、壁の先にある隠しキッチンで、
子狐はコンコンこやこや、黒いお湯の苦さがどれほどの災害であったか、叫んでおります。

『仕方ないよ。コーヒーっていうのは、砂糖やミルクを入れても、苦味が残る飲み物なんだよ』
まぁまぁ、まぁまぁ。
優しく子狐をなだめておるのは、子狐のおうちルームに以前住んでおった男、その幽霊。
生前はオカンもオカン、職場の部下にどっさり美味しい料理を用意して、食べさせておったそうです。

彼の墓碑には
「彼を起こさないでください カロリーテロ被害者より(要約)」
みたいな趣旨のエピタフが刻まれてるとか。

「やだっ!やだっ!コーヒー、にがい!
おいしいコーヒー、のみたかった!」
『参ったなぁ……』

よし。
こうなったら、コレしかない。
カロリーテロおばけはスケスケな手をポンと叩き、
子狐にコーヒーを使った美味しいお菓子の作り方を、伝授することにしたのでした。

ティラミスです。
お砂糖と卵と美味しいチーズと、可能なら少しのお酒を使う(けど子狐が子狐なので見送る)、
大人の、美味しいスイーツです。

「てぃらみす」
『そうだよ。コーヒーを使って作る、苦いけど甘い、美味しいお菓子だよ』
「てぃらみす!てぃらみす!」

さあお題回収を始めましょう。
ビスケットと生クリームと、フレッシュなチーズと卵を買って、砂糖はキッチンのを使います。

『そして、コレだ!』
幽霊が隠しキッチンの、時間魔法式冷蔵庫なる不思議を子狐に開けてもらいながら、言いました。

『コレこそ、僕の My​ Heart!
僕が管理局在籍時代に作り上げた、5大マスターピースのうちのひとつ!
時間魔法を常時発動させて食材を守る冷蔵庫だ!』

冷蔵庫の中に隠された子供用のお酒と、お菓子用最高級コーヒー豆を引っ張り出したら、
カシュカシュカシュ、カッカッカ、
卵とチーズと砂糖を混ぜたり、生クリームを泡立てたり、お皿にビスケットを並べたり。
「いいにおい!いいにおい!」
コンコン子狐はオバケのみちびきで、楽しく、効率よく、食材を組み立ててゆきます。

いちおうオバケの「My Heart」なる冷蔵庫に保管されていたコーヒーの、賞味期限スメルを確認した子狐ですが、
魔法がしっかり効いていたのか、ちっとも経年劣化しておらず、とってもフレッシュでありました。

『さあ、完成だ!
これが、きみが苦いと嫌ったコーヒーで作ったスイーツ。ティラミスだ!』

「おお、おおお、おおお!」
ガツガツガツ、ちゃむちゃむちゃむ!
美味しい砂糖とクリームの香りに、コンコン子狐は大興奮!よく冷えたティラミスを堪能します。
「おいしい!おいしい!」
ガツガツガツ、ちゃむちゃむちゃむ!
おくちをクリームとチーズとコーヒーでお化粧して、砂糖とチーズのきいたティラミスを堪能します。

そして子狐、理解しました。
『どうだい、コーヒーも、美味しいだr』
「おさとう!!イダイ!!偉大!!」

『あの、そうじゃなくて、コーヒ』
「おさとう、すごい!おさとう、だいじ!
おさとうこそ、キツネの、まいはぁーと!」
『コーヒー……』

砂糖があれば、美味しくない飲み物だって、絶品スイーツになるのだ!
稲荷子狐は妙な方向に学習して、尻尾をぶんぶん振りましたとさ。

3/28/2026, 12:59:10 AM