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夜の海

夜の海は冷たい。だけど僕はそんな冷たい海の中に踏み入れた。どんどんと水深が深くなっていって足が届くかくらいの所まで来た。透けたTシャツからは友達から受けた暴力でてきたあざが見えた。僕はそれを見て唇を噛んだ。お母さんに言っても「あんた物語作るの好きだからってそんな妄想しないで」と言われた。僕にはお父さんもおばあちゃんもおじいちゃんもいない。誰にも相談できなかった。ゆういつ信じていたお母さんにまでもああ言われてしまった。もう頼れる人がいない。そう思って僕はお母さんに行方不明だと思わせるために隣の県の海で命を経つことにした。この時お父さんが生きていれば、おばあちゃんが生きていれば、おじいちゃんが生きていればそう考えた。数秒後僕は「くだらない」と言って海の底へと沈んでいった。

8/15/2024, 11:39:27 AM