朝倉 ねり

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『凍てつく星空』

「おさかなさんはこの下にいるの?」
小さな子が凍った湖の上でしゃがんで、不思議そうにこちらを見あげた。
「そうだよ。表面が凍っているだけで、この下は水がちゃんとあるから、お魚さんもいるんだよ。」
寒さでふっくらとした頬を真っ赤にしたその子は、しばらくうむむ、と悩んでいたがやがてポツリと言った。
「うーん、じゃあ私たちのことも下から見てるってことなのかな。」
「そうじゃないかな。僕たちの影で急に暗くなったから、もしかしたら驚いてるかも。」



「父さん、急に真っ暗になった!」
「くらーいよ父さん!」
僕たちは固い上を見ていた。
悠々と泳ぐのも好きだけど、「夜」にヒレを休めて上を見上げるのも好きだ。
「大きな生き物が上にいるんだろうさ。大丈夫、すぐに見えるようになるさ。」
「そっかー!キラキラ、早くみたいなぁ!」
弟が無邪気に言う。
「僕もみたいな。父さん、寒くなると上が白っぽくなるのはなぜ?」
「それは私たちを覆っている水が凍るからだ。といっても全部凍るわけではなくて、上部だけだから、凍った部分が白く見えるってわけさ。」
「ふぅん。……あ、明るくなった!」
影が去り、また僕たちはキラキラを見ることができるようになった。

氷越しの星空。

12/1/2025, 11:45:08 AM