シシー

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 君だから、ずっと側にいたかったんだよ

 もう聴こえなくなってしまったかな。
感受性豊かな君はずっとひとりぼっちだと泣いていたね。今でもきっと泣いているのだろう。
 人一倍寂しがりなくせに、誰よりも人を嫌って拒み続けた。優しさには警戒するのに悪意には真正面から立ち向かう変な度胸もあったね。あまりいいことではないけど、そのおかげで僕は救われたよ。ありがとう。
 何に対しても興味関心が薄れてしまった君に喜びを伝えたい。その一心で話しかけ続けた。笑ってまっすぐ僕を見つめる君に気づいてほしかった。その笑顔と純粋すぎる優しさは君の最大の魅力だよ。

 どうか気づいて、泣かないで笑っていてよ


――――――

 ずっと横たわったまま、後ろ足だけで器用に私を追いかけてきた、あなたの側にいきたい

 小さな声で、何を話しているのかは分からなかったけど、ずっと話しかけてくれた。会話になっていたのかは分からないけど、あんなに長く誰かと話せたのは初めてだった。きっとこれからも更新されることはない。
 痛いことをされて、不自由を強要されたのに、どうしてまだ人を信じようとするの。その健気さに期待してしまった私のエゴであなたを助けた。期待通り、それ以上にあなたは私にとってかけがえのない存在になってくれた。
 壊れていく私を否定せず、ずっと私をあなたの中で生きさせてくれた。一喜一憂を、喜怒哀楽の全てを、あなただけが知っている。私もまた、あなたを覚えている。

 あなたという優しさの全てを、忘れない


――――――

 目を覚まさない君の声を、

 もう話せないあなたの心を、

 もっと、ずっと、聴いていたかった



          【題:君だけのメロディー】

6/13/2025, 10:36:03 PM