長月より

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 ショーゴくんは最近、嫌な夢を見たことはあるかい?

 そうか、ないのか。羨ましいな。僕は昨日……と、いっても今日か。嫌な夢を見てしまったんだ。

 いや、なに。実につまらなくてくだらない、嫌な夢だよ。君がいなくなってしまう感じの……。

──いや、違う。もし、君と出会わなかっただろう世界の、続きのような夢だよ。

 夢の中での僕は高校一年生で、でも制服は今着ているものとは違くて、友人は中学時代の人と今野同級生が混ざり合ってて、それで遅刻しそうだった。いつもなら君が迎えにきてくれるから、遅刻なんてするはずがないのに、夢の世界は君がいないから遅刻して「なんで起こしてくれなかったんだろう。でも誰に起こして貰いたかったんだっけ?」と、思いながら坂道をのぼるんだ。

 その後は、授業でも昼休憩でも友達と話して、誰か隣にいたはずなのに、誰かがいない気がする。おかしいと思いながら、過ごしてるんだ。そんな、君がいない夢だった。君のことが全く思い出せない夢だった。目が覚めてほっとした。

 なあ、ショーゴくん。今日……いや、明日の夢には僕に会いにきてくれるかい? ちゃんと僕と出会って、話をしてくれるかい?



……そうか。なら、昨日? の夢にさよならして、明日? と、安心して出会えるかな。

5/22/2023, 11:17:29 AM