『涙の理由』
私は、貴女が深い眠りについて
ずっと後悔している事がある。
後悔は沢山あるけれど、
その中でも、心の中で、
今でもシコリのように残っている事がある。
貴女が、
辛い宣告をされた時、
一人で訊かせてしまった事だ。
貴女は、
まさかとも思っていなかった結果に
どんな気持ちで聞いていたのか
私には分からない。
どんな気持ちで、結果を訊いて
家路についたのか、私には計り知れない。
家に帰ってきた貴女の目は赤かった。
その目を見れば、言われなくても
どういう結果だったのか察しがついた。
私も絶望を叩きつけられた感覚がした。
長い闘病を漸く終えれたばかりだと言うのに。
今生の非情さを恨んだ。
一人で行かせるのでは無かったと後悔した。
一人でなければ、
貴女は押し殺さずに泣けたはずなのに。
何でも我慢してしまう貴女だからこそ
一緒に涙を流せる相手が、側に居るべきだった。
一人より、二人の方が
貴女の流した涙の重さを
少しは変えれたのかも知れない。
側に居られたのなら、
貴女が流した涙の理由も、変えられたかも知れない。
だって、
この世には、何よりも重い涙を
一人で受け止められる人間など居ないから。
10/10/2024, 3:28:05 PM